稲穂を天日干しする「ハザ掛け」は美味しくなるのか?


五箇山 相倉合掌造り集落 稲架掛け 4
今では滅多に見ることがなくなった、田んぼに天日干しされている稲穂。
イメージ的には、機械で乾燥させるよりも、お天道さまに乾燥してもらったほうが美味しくなるように思いますが、どっちなのか調べるだけ調べてみました。

五箇山の相倉合掌造り集落では、ハザ掛けで乾燥

稲穂を天日干しする呼称は、地域によって様々で、ハザ掛け・ハサ掛け・いなかけ・いなばた、などなど。

昨日、五箇山 相倉合掌造り集落にて、「稲穂ハザ掛けライトアップ」が開催されていたので、行ってみたのです。
五箇山 相倉合掌造り集落 稲架掛け 9
イベント名にもなっているように、集落の田んぼには稲穂がハザ掛けされています。五箇山 相倉合掌造り集落 稲架掛け 8
どこかホッとする田園風景です。
五箇山 相倉合掌造り集落 稲架掛け 4
金泉寺ファームズでは、遠赤外線の乾燥機で、収穫した籾を適正な水分量まで乾燥させていますが、ハザ掛けで天日干しした場合とどちらが美味しいのか比べたことがありません。

ハザ掛けのメリットとは?

五箇山 相倉合掌造り集落 稲架掛け 5
漠然と「お天道様に乾燥してもらったほうが美味しいに決まってる」というイメージを持っていますが、ハザ掛けのメリットとは、なんでしょうか。

インターネットで調べてみたところ、
「追熟(後熟)する」ことがメリットのようです。

稲を刈った後も、茎や葉も一緒に昼夜の寒暖差がある田んぼに干しておくことで、完熟状態にさせることができるそうな。
そのことによって、倒れやすいコシヒカリを、倒れる前に刈り取れるメリットもあるみたいです。

でも、ハザ掛けしている期間中の天候に左右されたり、日のあたり具合で乾燥度合いがバラバラになるので、デメリットのほうが多い気がします。
このデメリットがあるために、現代の流通している米は、ほとんどが乾燥機によって乾燥されている理由なのかもしれません。

天日干しのほうが有意との論文アリ

日本調理科学会誌 米の天日干し及び熱風式機械乾燥の乾燥手法の差異が品質に及ぼす影響
日本調理科学会誌 Vol. 40 (2007) No. 5 p. 347-351 米の天日干し及び熱風式機械乾燥の乾燥手法の差異が品質に及ぼす影響

↑こちらの日本調理学会の論文では、天日干ししたほうが品質が有意になると結論が出ています。

↓要約の抜粋。

官能検査では,総合味および硬さの3項目において,天日干しは熱風乾燥と比べ,有意に優れることが評価された。炊飯品質では,天日干しは熱風乾燥より,食味スコァ等の5項目において品質指標が向上する傾向を示した。糊化特性は,天日干しは熱風乾燥と比べて,糊化開始温度が低く,最高粘度は高かった。

ちょっと掘り下げたい

天日干しの方が美味しい結果が出ていたので、やっぱりか〜。と思う一方で、ちょっと掘り下げてみたくなったことが以下になります。

  • 天日干しした期間の天候が不明。”天日干し”なのでずっと晴天だったのかな?天日干ししていた場所の雨量や湿度、夜露の具合、日照時間など、場合によっては、乾燥機のほうが正確にバラつきなく乾燥させられるので、結果が逆転するかも?
  • 乾燥機のスペック詳細をみたいけど、メーカーWebサイトでも見つからない。2007年の論文のようなので、10年も経っている。最新の乾燥機のほうが進化しているかも?
  • コシヒカリだけが原料だけど、ほかの品種でも同じなのかな?

なんだが揚げ足とりみたいになってしまいましたが、米作りはいろんな要素に左右されることなので、毎年同じ結果にはならないんですよね。
その中で、あーした方がイイ、こーした方がイイ、って試行錯誤しながら少しづつ進歩したり後退したり。

金泉寺ファームズでも、ハザ掛けしてみたいなぁ〜


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